燃料電池トラック

Hydro World

今週もまた、水素社会の到来を感じさせるニュースがありました(なぜかここのところ乗り物関連のニュースが多いですね…)。トヨタ自動車とグループ傘下の日野自動車は、現在開発中の燃料電池大型トラックの走行実験を、2022年春ごろから愛知県内や首都圏で始めると発表がありました。また同じタイミングで、日野自動車の米国事業を担う米国日野販売と米国日野製造は、トヨタ自動車と燃料電池大型トラックを製作する「プロジェクトZ」を公開し、2021年前半ごろに向けて試作車両を開発、2024年までの実用化を目指すことを明らかにしました。

日本向けに開発が進む燃料電池大型トラック
(出典:https://www.sankeibiz.jp/business/photos/201015/bsd2010150500014-p1.htm)
こちらは米国用。サイズ感が大きい。
(出典:https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00109/101300046/)

日本における走行実験の記事によりますと、車両は日野自動車の大型トラック「プロフィア」をベースに、トヨタ自動車の「ミライ」次期モデル用発電装置を2基搭載します。またトヨタによると、国内でバスやトラックなどの商用車が排出する二酸化のうち、約6割が大型トラックに由来するそう。この部分に燃料電池車(FCV)が投入されれば、環境負荷を減らす大きな役割を担う可能性がありそうですね。

米国での「プロジェクトZ」に関する情報によりますと、大型トラックだけではなく小型トラック、FCVだけでなく電気自動車(EV)など様々な車両を開発していくそうです。その背景には米国の厳しい環境規制があるとみられており、特に先進的なことで知られるカリフォルニア州では、ガソリンエンジンを動力とする乗用車やトラックの販売を2035年に禁止する予定。ますますクリーンなエネルギーへのシフトが進むものとみられています。

おそらく、大型トラックの移動が多い高速道路などの幹線や、物流拠点では水素ステーションの整備も進むのではないでしょうか。その近隣では自家用車のFCV化も合わせて促進すると、地方部であっても「FCV先進都市」がまちづくりにつながるかもしれないですね。

水素で走る電車

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前々回の記事で、水素を燃料にして飛行する航空機の話題をお届けしましたが、今回の話も燃料電池車(FCV)ではありません…!水素で走る電車を開発するというニュースがありましたので、そちらについてお届けしたいと思います。

外観イメージが公開された「HYBARI(ひばり)」
(出典:https://response.jp/article/2020/10/06/339108.html)

この鉄道車両は、JR東日本・日立製作所・トヨタの3者が共同して開発をすすめることになっており、日本を代表する企業によるチームにも注目が集まっています。水素を燃料とすることによる環境負荷の低減については、何度もこのブログで紹介してきた通りですが、鉄道の分野においても同様の取り組みが加速しそうですね。

鉄道=電車=電気で駆動するもの、と思いがちなのですが、鉄道にはディーゼルエンジンなど、車と同じようにエンジンで動くものも少なくないです(理由はいろいろありますが、一般には需要が少ないと電化するための工事の費用が高すぎて採算が取れない、など。恵那市の第三セクター、明知鉄道もディーゼルエンジンで動いています)。そのため、化石燃料の使用による温室効果ガスの排出問題がついてまわり、環境負荷の低減のために新しい駆動形式の車両の導入が各地で検討されています。この新型車両も実証実験は関東地方の非電化区間(鶴見線、南武線)で行われるものとみられます。

ここのところ、燃料電池や水素エネルギーの導入が急ピッチで進んでいる印象がありますが、それは都市部から順に地方へ進んでいくのではなくて、今回の鉄道のように地方部で導入したものが都市部でも利用されるという、逆方向の動きになるかもしれません。そういう意味では、水素社会の到来は地方創生とつながっていく可能性も秘めていますね。

水素の作り方

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こんにちは。突然ですが、「水素の作り方は?」と聞かれたらどう答えますか?理科が得意だった人なら、水の電気分解や、亜鉛に塩酸を加える実験を覚えているかもしれません。水素社会について何度もお伝えしてきていますが、そもそもエネルギーとして利用する水素はどのように製造されているのでしょうか。気になったので調べてみました。

代表的な作り方としては、

・水の電気分解

・天然ガスなどの化石燃料から取り出す

・森林資源などのバイオマスから作り出す

・苛性ソーダ製造などの化学工業で副産物として取り出す

がありました。それぞれ一長一短があるようですが、クリーンなエネルギー資源としての水素を作り出すにあたって、二酸化炭素が発生するんじゃない…?と思ったのは筆者だけではないでしょう(天然ガスが原料なら水素を介した火力発電なんじゃないの…?)。そんな疑問を感じていた折、こんなニュースが目に留まりました。

「仏で風力発電利用の水素工場建設へ 二酸化炭素を排出せず製造(NHK,2020年9月27日)」

この記事によると、水素の製造に必要な電力は風力発電、原料の水は海水を利用し、製造過程では一切の二酸化炭素を発生させないそうです。来年の5月から稼働する計画で、近隣地域の水素バスなどに供給されるそう。(出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200927/k10012636661000.html)

ここまでできれば安心してエコフレンドリーな水素を利用していることになりますよね。二酸化炭素の排出を減らすためには、水素の製造、運搬など様々な段階で既存のクリーンエネルギー(太陽光発電や風力発電など)の活用がポイントになりそうですね!

水素で航行する飛行機

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いつもは燃料電池車(FCV)についての話題をお届けしている「Hydro World」ですが、今回の話題はなんと飛行機!先日、欧州航空機大手のエアバス社から、温室効果ガスを排出しない、「ゼロe」(zero emission=排出ゼロ)をコンセプトとした旅客機の開発計画が発表されました。

エアバス社が発表した3機種(https://www.bbc.com/japanese/54244929より引用)

現在の旅客機はジェット燃料を大量に消費して航行するため、温室効果ガスの排出も多くなる傾向にありました。新型コロナウイルスの感染拡大によって航空機の利用が大幅に減ったことは、二酸化炭素の排出量減少につながった一因ともされています。そういった環境への負荷を減らす観点からも、水素を燃料とした航空機の開発には大きな注目が集まっています。

エアバス社の発表によれば2035年までに実用化する計画であり、開発する3機は液体水素を燃料としてガスタービンエンジンから動力を得て、燃料電池から電力を得る設計になるとのこと。ただ、一方で実用化には空港での給油(給水素?)のためのインフラ整備も必要になり、巨額の投資が求められることから、課題も多いとの見方も出ています。とはいえ、水素社会の到来に向けた大きなインパクトになることは間違いなく、期待を込めて今後の推移を見守りたいですね。

空を走るもの

ローカルトレンド

いきなり「なんのこと?」というタイトルですが、これも恵那のトレンドになりつつある、ドローンのお話をお伝えします。恵那市の南部、上矢作町(かみやはぎちょう)は、市内でも最大の面積を誇る、つまり森林が豊富なエリア。そこに今年からドローンを屋外で操縦できる拠点を設置し、広く普及させていこうというプロジェクトが進行しています。

ドローンのパイロット養成、ドローン体験教室などの実績がある、株式会社ROBOZ(ロボッツ)さんに全面的なご協力をいただいて、9月からは毎週末を中心にさまざまなイベントを実施しています。

FCVも最新テクノロジーで進化を続けていますが、ドローンもまた未来の可能性が詰まったデバイスです。興味はあるけど触れたことがない、という方も一度体験してみるのはいかがでしょうか。会場は上矢作体育館を中心としたエリアです(イベントごとに要確認)。申込みは以下から。

9月中のイベント申し込み

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfqoXSnDpijO0ZJ5pq0p2W189YbWcrREE7hUFi52CXsq2YTDA/viewform?fbclid=IwAR0qSxH4vMeCU3sz9fE4VWu-u5FKIpq5-P-voYlutBmZQFMpQGQcZ8s9zkg

10月中のイベント申し込み

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdDWpYrrjonrID_JzEok9f_JZ80rjR94Q36VP6z55ZqzqW5aw/viewform?fbclid=IwAR2U5-XKQtAJU9lAF1UmqPcryJkEnShuAXXOtg9k9W8dX3HVVLYwli1VF6I

水素社会のその先

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日本を代表する燃料電池車(FCV)であるトヨタのMIRAI(ミライ)。その二代目の発売が10月に予定されていることからも分かるように、FCVの技術開発や普及が進んでいます。今回お届けするのは、FCVを含めた「水素エネルギー」がどのような社会をもたらすのか、現状をまとめてみます。

液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」(https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20191211_1.html より)

そもそも、水素エネルギーがもたらすメリットについて考えてみると、

・化石燃料への依存を減らすことができる

・エネルギー的な安全保障を確立できる

・CO2排出削減により地球温暖化の進行を抑える

・新しい産業分野の創出が期待される

などがあります。これらを実現するための具体的なロードマップとしては、

①FCVと水素ステーションの普及による需要の拡大

②需要に見合った安価な水素の大量生産・調達

③水素の安全な貯蔵・流通の確保

となります。特に②の生産・調達においては、海外で生産した水素をLNG(液化天然ガス)のように船舶で運ぶ液化水素運搬船も開発が進められています。(川崎重工業「すいそ ふろんてぃあ」2020年秋頃の竣工、2021年に最初の水素運搬予定)。グローバルなエネルギー関係の中で、水素が放つ存在感は少しずつ増介していると言えるでしょう。

栗きんとんの季節

ローカルトレンド

久しぶりの投稿となってしまいましたが、少しずつ暑さもやわらいでいるかなと感じられる9月となりました。9月…私たちの暮らす恵那市やお隣の中津川市などは本格的な観光シーズンに突入し、街もいつも以上に賑わい・彩りを増す時期です。今年は例年通りとは行かないものの、それでも季節はちゃんと巡り、筆者も大好きな「栗きんとん」がお菓子屋さんの店頭に並び始めました!

栗きんとんはお店によって形や味わいに微妙な違いがあり、食べ比べるのも楽しい。

「え?栗きんとんってあのおせち料理の?」という読者の方がいるかもしれませんので、簡単に説明をすると…蒸した栗を殻から取り出し、裏ごしをして細かくなった栗に砂糖を少し加えて炊きます。できたものを一つ分に取り分け、茶巾(さらし)で丸めて栗の形に整えたものが栗きんとんです。口に入れるとホクホクした栗の甘みが広がり、口当たり良くさらっと溶けてなくなる、上品な甘みがなんとも言えない秋の味なんです。

地元住民にとっては、もともと各家庭で作っておやつにしているくらいのお茶菓子なのですが、いまではこの地域を代表する名物として日本中に届けられています。インターネットで注文することができますが、せっかくの行楽シーズン、栗きんとんを目的地にして、FCVで恵那や中津川まで足を伸ばしていただければと思います。

筆者の独断と偏見により、オススメの店舗は以下の通り。すべて恵那峡エリアに所在するので、栗菓子の街道として各店を回ってみてください。

●恵那寿や 観音寺店(岐阜県恵那市大井町2695-150)          TEL:0573-22-9133                          HP:https://www.suya.co.jp/user_data/kannonji2

●恵那川上屋 恵那峡店(岐阜県恵那市大井町2632-105)          TEL:0573-20-1150                         HP:https://www.enakawakamiya.co.jp/shop/enakyo.html

●恵那 銀の森(岐阜県恵那市大井町2711-2)              TEL:0800-200-5095                          HP:http://ginnomori.info                       

水素ステーションのしくみ④

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4回連続でお伝えしている水素ステーションのしくみ。今回は可燃性の気体である水素を取り扱ううえで大切な安全対策についてお届けします。

対策①:水素をもらさない〉そもそも水素がもれ出していたら、何がきっかけで引火するかわかりません。まずはもれないようにきちんと貯蔵しておくのが安全対策の大前提です。   

・水素ステーションの建物や貯蔵タンク → 耐震設計で地震や事故などの際にも貯蔵性能を保てる設計になっている

・ディスペンサー(燃料電池車に水素を供給する部分) → 給水素中に誤って車が発進したら安全に遮断する装置がついている

対策②:水素がもれたら早期に検知し拡大を防ぐ〉十分にもれない対策をしていても、仮に水素がもれた場合はすぐに異常を察知して、水素もれが続いてしまう事態を防ぎます。

・水素ステーションの建物や貯蔵タンク → ガス検知器や自動停止装置を備えて、異常を確認したらすぐに供給を停止

・ディスペンサー → 同じくガス検知器や自動停止装置により安全に水素供給を遮断する

対策③:水素がもれても留まらない〉水素は空気より軽いため、どんどん上方に移動しながら拡散して安全な濃度まで薄まっていきます。

・ディスペンサー → 水素が滞留しにくいキャノピー(庇)構造をしており、上方へ逃げていく

対策④:もれた水素に火がつかない〉空気中に一定濃度の水素があると、引火し場合によっては爆発を引き起こします。それを防ぐためにはガソリンスタンド同様に火気厳禁とすることはもちろん、他の理由(プロパンガスなどに着火し、その火が水素に引火するなど)で火が水素にまわらないようにすることが必要です。

・水素ステーションの建物や貯蔵タンク → ガス検知器や自動停止装置を備えて、可燃性ガスを確認したらすぐに水素の供給を停止

・ディスペンサー → 同じくガス検知器や自動停止装置により安全に水素供給を遮断する

対策⑤:万が一、火災などが起こっても周囲に影響を及ぼさない、または影響を軽減する〉どれだけ安全対策を施しても、最悪の事態は起こりえます。その場合でも被害を最小限に抑えます。

・水素ステーションの建物や貯蔵タンク → 火災検知器ですぐに異常を周囲に知らせつつ、散水装置や強固な障壁で火災の拡大を抑え込む

・蓄圧器(水素供給に適切な圧力を保つ装置)→ 火災により周囲の温度が上がると、貯蔵された水素が膨張して圧力が高まるため、温度異常時には自動で圧力を逃がす装置がついている

何重もの安全対策のうえで、水素ステーションは運営されています。ご利用のみなさまの安全を確保するためにも、ご利用の際のルール遵守をお願いいたします。

水素ステーションのしくみ③

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水素社会を支えるしくみについてお届けしてきましたHydro World。前回、前々回に続き3回目となる水素ステーションのしくみについてのお話です。今回は、水素ステーションを支える安全対策についてお伝えします。

「水素」というと、理科で学んだ特徴は「燃えやすい」ということです。つまり、取り扱いを間違えれば「水素爆発」と呼ばれるような大規模な事故を起こす可能性があります(2011年に福島第一原子力発電所で発生した建屋の爆発は、水素爆発と考えられています)。しかし、もう一つの特徴である「軽い」という性質に注目すれば、上に向かってどんどん広がっていくため、安全に放散させることができます。

その性質を理解した上で、水素ステーションでは様々な安全対策がとられています。

〈5つの主な安全対策〉

①水素をもらさない

②もれたら早期に検知し拡大を防ぐ

③水素がもれても留まらない

④もれた水素に火がつかない

⑤万が一、火災などが起こっても周囲に影響を及ぼさない、または影響を軽減する

㈱ENEOS水素サプライ&サービスのHPより引用(https://www.eh.jx-group.co.jp/hydrogen-energy/use-safely/)

次回はそれぞれの安全対策について解説していきます。お楽しみに!

水素ステーションのしくみ②

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前回に引き続き、水素社会を支えるインフラである水素ステーションについてお届けします。今回のテーマは、筆者が一番「どうなってるのだろう?」と思っている、水素充填器(ディスペンサー)についてまとめてみました。

燃料電池車(FCV)が水素を燃料として走っていることはわかりますが、水素といえば気体のはず。理科で出てきた元素周期表でも一番最初に出てくる水素は、最も軽い気体と教わりました。その水素をどのようにタンクに入れているのでしょうか。「MIRAI」に水素を充填するときを例にとってみます。

「MIRAI」の充填口(当たり前ですが給油口じゃない…!)はガソリン車と同じく車体の後方にあります。

ハンドル脇にあるボタンで充填口を開けます。これもガソリン車と同じですね。

カバーを開けるとこんな感じです。キャップをはずすとプラグがついています。

水素ディスペンサーから、ホースのついたノズルを取り外します。ガソリン用のものより大きめですね。

ノズルをプラグに接続します。高圧状態の水素がホースを通って車体の水素タンクに移動していくので、ロックされるつくりになっています。

準備ができたら「充填開始」のボタンを押すだけです。ガソリンのようにトリガーを使いません。

ディスペンサーのディスプレイ部分です。上は水素の充填量、下は圧力と温度が表示されています。タンクを満タンにするのは5kgの水素で、必要な時間は約3分です。

ダッシュボードには、水素充填量が表示されています(速度計の上の部分)。

充填が完了したら、ノズルを取り外し、キャップを締めて終了です。

写真はトヨタ MIRAI キャンペーンより引用(https://toyota.jp/mirai/cp/hope/station/)

現在は、ガソリンと同じ用にセルフで充填のできるステーションも出ていますが、ほとんどは技術をもった専門のスタッフが対応しています。筆者も一度体験してみたい…!