Hydro World
前回に引き続き、12月に発売が予定されている新型MIRAIについてお届けします。今回は、新型MIRAIが担う役割についてです。

燃料電池車(FCV)の一般向けモデルとしてトヨタ自動車がMIRAIを投入したのは2014年でした。当時は水素を燃料として走る乗用車はまさに「未来のクルマ」であり、排気ガスを出さないことによる環境保護への貢献は乗用車の新しい価値を創造したともいえるでしょう。しかしながら、発売から6年がたった今でも、爆発的ヒットには至っていません。その原因の大きなものは、燃料を補給するインフラである水素ステーションが身近にないことです。どんなにMIRAIに乗りたいと思っても、乗用車として使い続ける以上は燃料を必要とします。ガソリンスタンドは全国に約30,000ヶ所あるのに対し、水素ステーションは112ヶ所に留まります(2019年調べ)。この水素ステーション問題と、一般に普及するには少々MIRAIの本体価格が高いこともあり(補助金等を適用して約300万円ほど)、まだまだ発展途上にあるといえます。

この状況下で、新型MIRAIのミッションはFCVを少しずつ一般に広めていくことでしょう。販売台数が増えることは、原価の低減につながり、また販売価格を押し下げる効果も期待できます。ユーザーの増加で水素ステーションが増えれば、さらに一般化しやすくもなっていきます。価格とステーションの双方の課題をどちらから解決するかよりも、とにかく普及台数を増やしていくことが新型MIRAIに課せられたミッションであると思います。