新型MIRAI 12月に発売!②

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前回に引き続き、12月に発売が予定されている新型MIRAIについてお届けします。今回は、新型MIRAIが担う役割についてです。

セダンタイプの新型MIRAI(画像出典:https://toyota.jp/mirai/new/?utm_campaign=mirai_always_2004_dp&utm_medium=paidsearch&utm_source=google&utm_term=all_google_src_model_mirai-model&utm_content=mirai_always_2004_dp_paidsearch_all_google_src_model_mirai-model_mirai-eta-1×1-teaser-exhibition_mirai-teasersite_201102_2061_&gclid=Cj0KCQiAqdP9BRDVARIsAGSZ8AmTS9tfpkbEB6N8hDcGgu0okoyLbXa4C0INK-OKGNXcsPCJShCz2r8aAtN3EALw_wcB)

燃料電池車(FCV)の一般向けモデルとしてトヨタ自動車がMIRAIを投入したのは2014年でした。当時は水素を燃料として走る乗用車はまさに「未来のクルマ」であり、排気ガスを出さないことによる環境保護への貢献は乗用車の新しい価値を創造したともいえるでしょう。しかしながら、発売から6年がたった今でも、爆発的ヒットには至っていません。その原因の大きなものは、燃料を補給するインフラである水素ステーションが身近にないことです。どんなにMIRAIに乗りたいと思っても、乗用車として使い続ける以上は燃料を必要とします。ガソリンスタンドは全国に約30,000ヶ所あるのに対し、水素ステーションは112ヶ所に留まります(2019年調べ)。この水素ステーション問題と、一般に普及するには少々MIRAIの本体価格が高いこともあり(補助金等を適用して約300万円ほど)、まだまだ発展途上にあるといえます。

FCVが日常生活に溶け込むにはもう少し時間がかかるのかも(画像出典:https://toyota.jp/mirai/new/?utm_campaign=mirai_always_2004_dp&utm_medium=paidsearch&utm_source=google&utm_term=all_google_src_model_mirai-model&utm_content=mirai_always_2004_dp_paidsearch_all_google_src_model_mirai-model_mirai-eta-1×1-teaser-exhibition_mirai-teasersite_201102_2061_&gclid=Cj0KCQiAqdP9BRDVARIsAGSZ8AmTS9tfpkbEB6N8hDcGgu0okoyLbXa4C0INK-OKGNXcsPCJShCz2r8aAtN3EALw_wcB)

この状況下で、新型MIRAIのミッションはFCVを少しずつ一般に広めていくことでしょう。販売台数が増えることは、原価の低減につながり、また販売価格を押し下げる効果も期待できます。ユーザーの増加で水素ステーションが増えれば、さらに一般化しやすくもなっていきます。価格とステーションの双方の課題をどちらから解決するかよりも、とにかく普及台数を増やしていくことが新型MIRAIに課せられたミッションであると思います。

新型MIRAI 12月に発売!①

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2014年の発売から6年、燃料電池車(FCV)「MIRAI」の新モデルがまもなく発売されます!オンライン上ではメディア各社の様々な評価が飛び交っておりますが、このページでは期待を込めてその姿を何回かに分けてご紹介したいと思います。

トヨタ自動車の新型MIRAIページ(https://toyota.jp/mirai/new/?utm_campaign=mirai_always_2004_dp&utm_medium=paidsearch&utm_source=google&utm_term=all_google_src_model_mirai-model&utm_content=mirai_always_2004_dp_paidsearch_all_google_src_model_mirai-model_mirai-eta-1×1-teaser-exhibition_mirai-teasersite_201102_2061_&gclid=Cj0KCQiAqdP9BRDVARIsAGSZ8AmTS9tfpkbEB6N8hDcGgu0okoyLbXa4C0INK-OKGNXcsPCJShCz2r8aAtN3EALw_wcB)

まず注目すべきは、航続距離が伸びたということです。初代MIRAIは水素タンクを満タンにして約550〜650kmを走行することができていましたが、2代目はなんと約850kmになりました。850kmというと、福岡県の博多から岐阜県の恵那市までの移動距離に相当します。

もう一つの特徴は、「走る空気清浄機」であるということです。FCVはタンクに充填した水素と、空気中の酸素の反応によって水ができる際に電気を取り出すことにより駆動していますが、発電後の空気を排出するときにフィルターで清浄化してから排出する仕組みになっており、走れば走るだけ空気をきれいにしていくことができます。これはガソリンやディーゼルエンジンにつきものの排気ガスのように、環境汚染を気にしながら走ることとは全く逆の発想です(排気ガスゼロの「ゼロエミッション」ならぬ、「マイナスエミッション」というみたいです)。

ボンネットを開けると燃料電池ユニットが収められている
(画像出典:https://news.mynavi.jp/article/new-mirai-1/)

これまで以上に環境への負荷を減らしていくための仕組みが織り込まれた新型MIRAI。次回はそのクルマが担う役割についてお伝えします。

月と水素

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「アルテミス合意」という言葉、最近メディアで目にしませんでしたか?日米欧などの8カ国が、月における探査の基本ルールを定めたものです。実は、ここでも水素(水)の取り扱いに触れられているのです。月に存在すると予測されている水ですが、現地で活動する際に必要な飲料水(どうやって飲める状態に浄化されるのかも気になりますね)としての利用はもちろん、分解することで水素と酸素にし、ロケットや探査車などの燃料としての活用も検討されています。それができれば、地球から膨大な量の水や水素燃料を運搬することなく、現地で必要量を生産・調達することができます。

(出典:https://sorae.info/space/20201016-artemis.html)

これ、現地で持続的に活動するための資源として水や水素を活用していますよね。よく考えてみるとSDGs(持続可能な開発目標)に非常に近いと思います。資源の限られた月という環境において、人類が生存し活動するための仕組みを作ることは、地球環境を守りながら共存していくことに必ず応用できるはずです。どんな未来が月から地球にもたらされるのか、気になる話題ですね。

水素がやってくる

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飛行機、電車、トラックと、水素を燃料にして動く乗り物を紹介してきました。今回は、その水素自体の調達についてお伝えします。つい先日の報道によると、日本政府は来年の1〜3月ごろ、オーストラリアから水素を輸入する実証実験を行うことが発表されました。現在、水素は化学工業の副産物などとして製造されていますが、価格が高いことが普及を妨げる要因の一つとも言われています。そこで、オーストラリアのプラントで「褐炭」とよばれる低品質な石炭から水素を大量に生産し、コストを下げて流通させる試みです。液化天然ガス(LNG)と同様に、マイナス253度の極低温で液化させた水素を輸送船で運び、その安全性を確かめるための実験だそうです。

以前にも紹介した運搬船「すいそ ふろんてぃあ」
(出典:https://www.tokyo-np.co.jp/article_photo/list?article_id=63276&pid=151539)

ただ水素は天然ガスや石油と違い、世界中で生産と供給が可能になり、エネルギー安全保障にも寄与するものだと考えられています(資源を争って戦争の原因になったり、輸送ルートの確保が軍事的な目的になったりしなくて済む)。資源国オーストラリアからの水素輸入は、果たしてそういった役割を果たしてくれるのか、それともまずは流通量の拡大を狙った戦略なのか、今後に注視したいトピックです。

燃料電池トラック

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今週もまた、水素社会の到来を感じさせるニュースがありました(なぜかここのところ乗り物関連のニュースが多いですね…)。トヨタ自動車とグループ傘下の日野自動車は、現在開発中の燃料電池大型トラックの走行実験を、2022年春ごろから愛知県内や首都圏で始めると発表がありました。また同じタイミングで、日野自動車の米国事業を担う米国日野販売と米国日野製造は、トヨタ自動車と燃料電池大型トラックを製作する「プロジェクトZ」を公開し、2021年前半ごろに向けて試作車両を開発、2024年までの実用化を目指すことを明らかにしました。

日本向けに開発が進む燃料電池大型トラック
(出典:https://www.sankeibiz.jp/business/photos/201015/bsd2010150500014-p1.htm)
こちらは米国用。サイズ感が大きい。
(出典:https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00109/101300046/)

日本における走行実験の記事によりますと、車両は日野自動車の大型トラック「プロフィア」をベースに、トヨタ自動車の「ミライ」次期モデル用発電装置を2基搭載します。またトヨタによると、国内でバスやトラックなどの商用車が排出する二酸化のうち、約6割が大型トラックに由来するそう。この部分に燃料電池車(FCV)が投入されれば、環境負荷を減らす大きな役割を担う可能性がありそうですね。

米国での「プロジェクトZ」に関する情報によりますと、大型トラックだけではなく小型トラック、FCVだけでなく電気自動車(EV)など様々な車両を開発していくそうです。その背景には米国の厳しい環境規制があるとみられており、特に先進的なことで知られるカリフォルニア州では、ガソリンエンジンを動力とする乗用車やトラックの販売を2035年に禁止する予定。ますますクリーンなエネルギーへのシフトが進むものとみられています。

おそらく、大型トラックの移動が多い高速道路などの幹線や、物流拠点では水素ステーションの整備も進むのではないでしょうか。その近隣では自家用車のFCV化も合わせて促進すると、地方部であっても「FCV先進都市」がまちづくりにつながるかもしれないですね。

水素で走る電車

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前々回の記事で、水素を燃料にして飛行する航空機の話題をお届けしましたが、今回の話も燃料電池車(FCV)ではありません…!水素で走る電車を開発するというニュースがありましたので、そちらについてお届けしたいと思います。

外観イメージが公開された「HYBARI(ひばり)」
(出典:https://response.jp/article/2020/10/06/339108.html)

この鉄道車両は、JR東日本・日立製作所・トヨタの3者が共同して開発をすすめることになっており、日本を代表する企業によるチームにも注目が集まっています。水素を燃料とすることによる環境負荷の低減については、何度もこのブログで紹介してきた通りですが、鉄道の分野においても同様の取り組みが加速しそうですね。

鉄道=電車=電気で駆動するもの、と思いがちなのですが、鉄道にはディーゼルエンジンなど、車と同じようにエンジンで動くものも少なくないです(理由はいろいろありますが、一般には需要が少ないと電化するための工事の費用が高すぎて採算が取れない、など。恵那市の第三セクター、明知鉄道もディーゼルエンジンで動いています)。そのため、化石燃料の使用による温室効果ガスの排出問題がついてまわり、環境負荷の低減のために新しい駆動形式の車両の導入が各地で検討されています。この新型車両も実証実験は関東地方の非電化区間(鶴見線、南武線)で行われるものとみられます。

ここのところ、燃料電池や水素エネルギーの導入が急ピッチで進んでいる印象がありますが、それは都市部から順に地方へ進んでいくのではなくて、今回の鉄道のように地方部で導入したものが都市部でも利用されるという、逆方向の動きになるかもしれません。そういう意味では、水素社会の到来は地方創生とつながっていく可能性も秘めていますね。

水素の作り方

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こんにちは。突然ですが、「水素の作り方は?」と聞かれたらどう答えますか?理科が得意だった人なら、水の電気分解や、亜鉛に塩酸を加える実験を覚えているかもしれません。水素社会について何度もお伝えしてきていますが、そもそもエネルギーとして利用する水素はどのように製造されているのでしょうか。気になったので調べてみました。

代表的な作り方としては、

・水の電気分解

・天然ガスなどの化石燃料から取り出す

・森林資源などのバイオマスから作り出す

・苛性ソーダ製造などの化学工業で副産物として取り出す

がありました。それぞれ一長一短があるようですが、クリーンなエネルギー資源としての水素を作り出すにあたって、二酸化炭素が発生するんじゃない…?と思ったのは筆者だけではないでしょう(天然ガスが原料なら水素を介した火力発電なんじゃないの…?)。そんな疑問を感じていた折、こんなニュースが目に留まりました。

「仏で風力発電利用の水素工場建設へ 二酸化炭素を排出せず製造(NHK,2020年9月27日)」

この記事によると、水素の製造に必要な電力は風力発電、原料の水は海水を利用し、製造過程では一切の二酸化炭素を発生させないそうです。来年の5月から稼働する計画で、近隣地域の水素バスなどに供給されるそう。(出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200927/k10012636661000.html)

ここまでできれば安心してエコフレンドリーな水素を利用していることになりますよね。二酸化炭素の排出を減らすためには、水素の製造、運搬など様々な段階で既存のクリーンエネルギー(太陽光発電や風力発電など)の活用がポイントになりそうですね!

水素で航行する飛行機

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いつもは燃料電池車(FCV)についての話題をお届けしている「Hydro World」ですが、今回の話題はなんと飛行機!先日、欧州航空機大手のエアバス社から、温室効果ガスを排出しない、「ゼロe」(zero emission=排出ゼロ)をコンセプトとした旅客機の開発計画が発表されました。

エアバス社が発表した3機種(https://www.bbc.com/japanese/54244929より引用)

現在の旅客機はジェット燃料を大量に消費して航行するため、温室効果ガスの排出も多くなる傾向にありました。新型コロナウイルスの感染拡大によって航空機の利用が大幅に減ったことは、二酸化炭素の排出量減少につながった一因ともされています。そういった環境への負荷を減らす観点からも、水素を燃料とした航空機の開発には大きな注目が集まっています。

エアバス社の発表によれば2035年までに実用化する計画であり、開発する3機は液体水素を燃料としてガスタービンエンジンから動力を得て、燃料電池から電力を得る設計になるとのこと。ただ、一方で実用化には空港での給油(給水素?)のためのインフラ整備も必要になり、巨額の投資が求められることから、課題も多いとの見方も出ています。とはいえ、水素社会の到来に向けた大きなインパクトになることは間違いなく、期待を込めて今後の推移を見守りたいですね。

水素社会のその先

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日本を代表する燃料電池車(FCV)であるトヨタのMIRAI(ミライ)。その二代目の発売が10月に予定されていることからも分かるように、FCVの技術開発や普及が進んでいます。今回お届けするのは、FCVを含めた「水素エネルギー」がどのような社会をもたらすのか、現状をまとめてみます。

液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」(https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20191211_1.html より)

そもそも、水素エネルギーがもたらすメリットについて考えてみると、

・化石燃料への依存を減らすことができる

・エネルギー的な安全保障を確立できる

・CO2排出削減により地球温暖化の進行を抑える

・新しい産業分野の創出が期待される

などがあります。これらを実現するための具体的なロードマップとしては、

①FCVと水素ステーションの普及による需要の拡大

②需要に見合った安価な水素の大量生産・調達

③水素の安全な貯蔵・流通の確保

となります。特に②の生産・調達においては、海外で生産した水素をLNG(液化天然ガス)のように船舶で運ぶ液化水素運搬船も開発が進められています。(川崎重工業「すいそ ふろんてぃあ」2020年秋頃の竣工、2021年に最初の水素運搬予定)。グローバルなエネルギー関係の中で、水素が放つ存在感は少しずつ増介していると言えるでしょう。

水素ステーションのしくみ④

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4回連続でお伝えしている水素ステーションのしくみ。今回は可燃性の気体である水素を取り扱ううえで大切な安全対策についてお届けします。

対策①:水素をもらさない〉そもそも水素がもれ出していたら、何がきっかけで引火するかわかりません。まずはもれないようにきちんと貯蔵しておくのが安全対策の大前提です。   

・水素ステーションの建物や貯蔵タンク → 耐震設計で地震や事故などの際にも貯蔵性能を保てる設計になっている

・ディスペンサー(燃料電池車に水素を供給する部分) → 給水素中に誤って車が発進したら安全に遮断する装置がついている

対策②:水素がもれたら早期に検知し拡大を防ぐ〉十分にもれない対策をしていても、仮に水素がもれた場合はすぐに異常を察知して、水素もれが続いてしまう事態を防ぎます。

・水素ステーションの建物や貯蔵タンク → ガス検知器や自動停止装置を備えて、異常を確認したらすぐに供給を停止

・ディスペンサー → 同じくガス検知器や自動停止装置により安全に水素供給を遮断する

対策③:水素がもれても留まらない〉水素は空気より軽いため、どんどん上方に移動しながら拡散して安全な濃度まで薄まっていきます。

・ディスペンサー → 水素が滞留しにくいキャノピー(庇)構造をしており、上方へ逃げていく

対策④:もれた水素に火がつかない〉空気中に一定濃度の水素があると、引火し場合によっては爆発を引き起こします。それを防ぐためにはガソリンスタンド同様に火気厳禁とすることはもちろん、他の理由(プロパンガスなどに着火し、その火が水素に引火するなど)で火が水素にまわらないようにすることが必要です。

・水素ステーションの建物や貯蔵タンク → ガス検知器や自動停止装置を備えて、可燃性ガスを確認したらすぐに水素の供給を停止

・ディスペンサー → 同じくガス検知器や自動停止装置により安全に水素供給を遮断する

対策⑤:万が一、火災などが起こっても周囲に影響を及ぼさない、または影響を軽減する〉どれだけ安全対策を施しても、最悪の事態は起こりえます。その場合でも被害を最小限に抑えます。

・水素ステーションの建物や貯蔵タンク → 火災検知器ですぐに異常を周囲に知らせつつ、散水装置や強固な障壁で火災の拡大を抑え込む

・蓄圧器(水素供給に適切な圧力を保つ装置)→ 火災により周囲の温度が上がると、貯蔵された水素が膨張して圧力が高まるため、温度異常時には自動で圧力を逃がす装置がついている

何重もの安全対策のうえで、水素ステーションは運営されています。ご利用のみなさまの安全を確保するためにも、ご利用の際のルール遵守をお願いいたします。